尾道・松永湾で潮干狩りスポット復活へ!広島の親子に知って欲しい「令和の里海づくり」活動に密着
広島に住む人にとって、瀬戸内海はとても身近な存在。今年も海水浴や潮干狩りなどを満喫した家族が多いかもしれませんね。尾道市の松永湾もかつては潮干狩りの場として知られ、アサリの名産地でした。しかし、今ではアサリの漁獲量が激減し、潮干狩りもできない状態に。
そんな松永湾では今、干潟再生プロジェクト「令和の里海づくり」が進行中!このプロジェクトが功を奏せば、松永湾が尾道の観光スポットとして、そして広島親子の遊び場として復活する日もそう遠くないかも…!今回は、その第一歩として実施された、地元小学生による潮干狩り体験の様子をご紹介します♪
地元小学生による潮干狩りも♪尾道・松永湾で「令和の里海づくり」が始動!
尾道・松永湾のピンチを救う!干潟再生活動「令和の里海づくり」
尾道といえば、広島県内でも有数の観光スポット!…ですが、その東側に広がる松永湾の沿岸に、広い干潟があることはご存知でしょうか?観光地としてにぎわう尾道市内中心部とは違い、松永湾は知る人ぞ知る地元の“里海”として、古くから親しまれていました。
かつての尾道・松永湾は広島県内でも有数のアサリ漁場であり、地域ブランド「山波のアサリ」の産地としても知られていました。しかし、1990年代に入ってからアサリの漁獲量が激減。それまでにぎわっていた潮干狩り場も閉鎖に追い込まれてしまったんだとか…。
そんな松永湾では現在、干潟再生を目指す「令和の里海づくり」が進行中!尾道市内に住む子どもから大人まで巻き込んだ、一大プロジェクトとなっているんです。pikabuでは今回、松永湾の取り組みを応援すべく、その“第一歩”となる活動を取材しました!
尾道・地元小学生が夕暮れ時の松永湾へ!みんなで潮干狩りに参加♪
2023年9月28日、いつもは静かな尾道・松永湾の干潟には多くの人影が…!この日は地元の小学生とその保護者、漁協関係者の方々が集まり、潮干狩りと干潟の生き物調査が行われました。
これも、「令和の里海づくり」の活動のひとつ。地元小学校への出張授業で、漁協の関係者などが松永湾の干潟再生について話したことから実現したんだとか。この日は、授業に参加した5年生の生徒の中から希望者を募り、7組の親子が参加しました♪
干潮を迎えた夕暮れ時から、いよいよ潮干狩りがスタート!みんな真剣に、黙々と掘っていきます。中には熱中しすぎてぬかるみにお尻がついてしまうハプニングも…!
初めての潮干狩りに悪戦苦闘する子もいましたが、漁協の方にコツを聞いてからはあっという間に上達!気付けば、ザルからこぼれんばかりの大粒のアサリが獲れていました。まるで宝探しのような潮干狩りにすっかり夢中の様子です。
潮干狩りのあとは干潟の生き物探しに熱中♪
潮干狩りのあとは、干潟に生息する生き物を探します♪
あたりを見渡しても生き物の姿は見えませんが、ザルで砂をすくって海水で洗うと…小さな生き物が次々に見つかります!
ザルの中にいたのは、小エビや小魚、カニ、どんこなど!誰かが何かを見つけると歓声があがり、みんなが「見せて見せて!」と集まっていました。子どもたちも「なんかいた!」「これはなに?」と目をキラキラ輝かせていましたよ♪
その隣では、なにやら専門機材を使った調査が行われている様子。これは「ブルーカーボン調査」といって、干潟の泥水の中にいる生物がどのくらい光合成をしているかを観測するもの。この調査の目的は、生態系の復活や二酸化炭素の削減につながる“藻場”を再生することなんだとか。生物があふれる豊かな干潟にするために、専門機関によるさまざまな調査も行われているようです♪
最後に…今日獲れたアサリを改めてお披露目!子どもたちはみんな、大漁のアサリに満足気でした♪
その後はアサリを選別し、大きいものは持ち帰ることに。ちなみに大きなアサリは、2、3年前に撒いたものでは、とのこと。
そして小さいアサリは、再び海へ戻されました。数年後、このときのアサリが大きく成長しているかもと思うとワクワクしますね!
「尾道出身だけど潮干狩りは初めて!」参加した方の反応は?
次々に土の中から現れるアサリに「思ったよりも大きい!」と驚いていた参加者のみなさん。保護者の方に話を聞いてみると「地元の海だけど潮干狩りは初めて」という方がほとんどのようでした。
中には「松永湾のアサリは数が少ないって聞いていたので、潮干狩りのイメージがなかった」という声も。
今回参加した子どもたちがもう少し大きくなった頃には、尾道の松永湾が、潮干狩りスポットとして再興していることを期待したいですね♪
なぜアサリは減ってしまったの?松永湾の干潟再生活動のこれまで
尾道・松永湾からアサリが激減してしまった理由
松永湾のアサリが獲れなくなったのには、さまざまな理由があるようです。そのうちのひとつが、宅地造成のためにかつて塩田として活用されていた土地を埋め立てたこと。また、海水温の上昇や水質の悪化も影響しているんだとか。その結果、アサリをはじめとした干潟の生き物にとって住みにくい環境になってしまいました。
地道に続けられてきた尾道・松永湾の干潟再生活動
松永湾の干潟再生活動が始まったのは、今から10年ほど前。しかし、担い手不足で一時は停滞していた時期もあったようです。それが、再び漁協の人々の熱意によって4年前にリスタートを切り、今年度からは環境省が進める「令和の里海づくり」にも参加が決まりました。
ここで改めて「令和の里海づくり」についてご紹介!環境省が推し進めるモデル事業のひとつで、具体的には、瀬戸内海のような全国にある内湾や内海で、生物の生息場や水質浄化などの保全・再生を進めるというものだそう。
干潟を耕運機で耕し、砂に空気を入れる作業
尾道市の「令和の里海づくり」は、まず松永湾の干潟をアサリの生育・生息環境として再生するところからスタート。
2023年9月1日には、地元の人々が参加し、松永湾の干潟にたくさんのアサリが撒かれました。このときのアサリはきっと今頃、海の中でスクスクと成長しているはず…!
もちろん、ただアサリを撒くだけではありません。せっかく撒いたアサリが“エイ”に食べられないようにネットを貼ったり、水質改善のためにカキ殻を定期的に撒いたり、干潟を耕運機で耕したり…。こうして、アサリが生息できる場所を少しずつ増やしていくそう!人手と月日を要する、地道な作業が行われていることが分かります。
かつての尾道・松永湾を取り戻す!「令和の里海づくり」の今後は?
今後は地元小学校への出張授業やセミナーも!
今後も、もっと干潟の現状を知ってもらうため、尾道市内の小学校への出張授業を引き続き実施予定とのこと。「地元の海のために何かしたい!」という想いを持つ子が増えてくれそうですね。
また、地域の方へ向けてセミナーも計画されています。松永湾についてもっと知りたい方や環境保全に興味のある方は、ぜひ参加してみてくださいね♪
将来的には潮干狩りが楽しめるほか、地域環境にもプラス!
今回の体験ではバケツいっぱいのアサリが獲れたものの、かつてのように潮干狩りができるようになるにはもう少し時間がかかるとのこと。ただ、尾道市の「令和の里海づくり」が成功し、干潟再生が進めば、潮干狩りも再び楽しめるようになるでしょう。
その頃には、松永湾の美しい景観も戻り、広島の新たな観光資源として多くの人が訪れているかもしれません。尾道なら潮干狩りついでに街観光も楽しめそう♪松永湾が完全復活する日が、今から待ち遠しいですね!
尾道・松永湾の干潟再生活動「令和の里海づくり」に今後も注目!
子どもたちにとって、スーパーのパック詰めされたものではなく、泥土の中から自分の手でアサリを掘り出すのは貴重な経験となったことでしょう。尾道・松永湾の干潟再生は「令和の里海づくり」として本格的に始まったばかり。このプロジェクトは、広島の子どもたちがふるさとの海の現状を知り「何かできることはないかな?」と考えるきっかけになるかもしれません。みなさんも、ぜひ松永湾で今起きていることについて家族で話し合ってみてください♪
【尾道東部漁業協同組合】
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〒722-0062広島県尾道市向東町12635番地の2 |
電話番号 |
本活動に関するお問い合わせは以下までお願いします。 お問い合わせ先:ひろぎんエリアデザイン(株) 淺野 080-9954-7837 |
担当ライター