広島の森のようちえん!乳幼児期の心の根っこを育む“信じる・待つ・見守る”自然保育

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日本国内でも3例目となる「ひろしま自然保育認証制度」が立ち上がり、自然保育への関心がますます高まっている広島県。そんな広島県では、自然環境を利用した保育・幼児教育が魅力の「森のようちえん」が盛んになりつつあります。今回はそんな「森のようちえん」の活動についてくわしくご紹介しましょう。

森のようちえんとは?

出典元:森のようちえん まめとっこ

森のようちえんとは、デンマーク発祥の自然体験を大切にした子育てや保育の総称です。今では、北欧だけでなく日本や韓国など、世界の国々に広がっている森のようちえん。乳幼児期の子どもたちの自然体験を、森だけでなく、海や川・畑・都市公園といった自然環境で行う保育全般を指しています。

森のようちえんと一口に言っても、その運営スタイルはさまざま。広島の森のようちえんには、通常の幼稚園や保育園のように子どもを預ける”主催者(預け)型”、保育者と保護者が協力して保育・運営を行う”共同保育型”、週末などに単発で開催される”イベント型”、未就園児の親子で通う”親子参加型”など、さまざまなスタイルがあります。

そんな、広島県内にあるさまざまな運営スタイルの森のようちえんについて、ここから一部ご紹介します!

【預け型】戸山の森のようちえん おてんとさん(広島市安佐南区)

出典元:戸山の森のようちえん おてんとさん

「戸山の森のようちえん おてんとさん」は、”広島市内から一番近い田園地区”として親しまれている安佐南区戸山が拠点の、保育者主催の預け型の森のようちえん。里山の豊かな自然の中、子どもたちは仲間との関わりを通して、しなやかでたくましい心と体を育んでいます。

豊かな自然と豊富な活動フィールド

出典元:戸山の森のようちえん おてんとさん

おてんとさんの拠点とする里山は、美しく豊かな自然が魅力。朝の会で子どもたちと一緒に、その日の行き先を話し合って決めています。暑い夏もひんやりと涼しく過ごせる林の中や水遊びが楽しめる清流、広い野原、豊かな田畑、手仕事のできる道場と、豊かな自然あそびを満喫できるのが贅沢♪

自ら育つ力を信じる・見守る・待つ保育

出典元:戸山の森のようちえん おてんとさん

遊具やおもちゃのない森の中でも、自ら遊びを作り出すのが上手な子どもたち。自然界にあるものを何かに見立て、想像力を働かせてごっこ遊びは広がっていきます。お気に入りの木の棒は、剣や釣り竿に変身!葉っぱや木の皮、砂はおままごとのお料理に。保育者は先回りや誘導をすることなく、子どもたちの遊びの世界観を大切に見守ります。子どもたちの持つ、”自ら育つ力”を信じて見守り、待つことを大切にしているからです。

野外料理や季節の手仕事も

出典元:戸山の森のようちえん おてんとさん

金曜日のお昼ご飯は、お味噌汁とご飯を子どもたちが作ります。お米の研ぎ方や水加減、包丁を使っての野菜切り、火の付け方や育て方など、大きい子から小さい子に伝承していくのがおてんとさん流。小さい子は大きい子に憧れ挑戦し、大きい子は小さい子の力量に合わせた手助けをしています。毎週の野外料理で、子どもたちは自然と食と仲間との絆を深め、育ち合っているんです。

出典元:戸山の森のようちえん おてんとさん

季節の手仕事を体験できるのも、おてんとさんの魅力のひとつ。味噌作りや干し柿作り、梅干し作りといった保存食作りや、工作やにじみ絵などの創作活動も行います。

おてんとさんのあたたかい仲間の輪

出典元:戸山の森のようちえん おてんとさん

預け型と言っても、月に一度は保護者も保育や森の整備に入ります。保護者参加の“おつきさんの日”は、季節折々の自然遊びを親子で楽しめる貴重な一日です。

写真は、あたたかく素朴な森の卒園式の様子。一年過ごした大好きな森で行う卒園式は、宝の地図ならぬ卒園証の地図を頼りに子どもが森に隠された卒園証を探し出すという、オリジナリティあふれる素敵なセレモニーです。

保護者の体験談

在園児ママから、おてんとさんの魅力について伺いました!
・子育てへの思いをしっかりと持った保護者が多く、月一回の親子登園で相談したり親同士の関係も築けたりできました。
・少人数で子どもたちの関係がとても密。ときにはぶつかり合いのケンカになることもありますが、それだけ自分を出せる場となっていると思います。
おてんとさんで過ごす日々を通し、子どもたちはたくましくしなやかな心と体を育てているようです。

戸山の森のようちえん おてんとさん

場所

広島市安佐南区戸山

活動日

月~金の週5日(祝日・お盆・年末年始・年度末休みあり)

公式サイト

https://toyamaotentosan.jimdofree.com/

対象

年少~年長 各学年5名

【共同保育型】森のようちえん まめとっこ(広島市安佐南区・西区)

出典元:森のようちえん まめとっこ

広島市安佐南区・西区で活動する「森のようちえん まめとっこ」は、保育者と保護者が協力して保育・運営を担う共同保育型の森のようちえん。子どもはもちろん、お母さんのための森のようちえんであることを大切に、家庭的であたたかみのある保育を展開しています。

広島市内から近い!街中の森のようちえん

出典元:森のようちえん まめとっこ

まめとっこの活動する複数のフィールドは、広島市内からも好アクセスな里山。山登りをすれば、山頂からは自分たちが暮らしている街を一望できるんです。子どもたちがのびのびと遊べる場の少ない街中だからこそ、自然保育へのニーズも高まっています。広島の街中に暮らしながらも、身近な自然でたっぷり遊べるのもまめとっこの魅力のひとつ。

子どもは遊びの天才!子ども主体の森あそび

出典元:森のようちえん まめとっこ

晴れの日も雨の日も森に出かけるまめとっこ。「ダメ・危ない・汚い・早く」といった言葉をなるべく控え、子どもの主体性を尊重した保育をしています。

あたたかな見守りの中、目を輝かせて夢中で遊ぶ子どもたち。雨の日の水たまりにダイブ!と、大人の都合でやめさせたくなるようなダイナミックな遊びも、まめとっこの子どもたちはのびのびと楽しんでいます。子どもたちの弾けるような笑顔が印象的ですね♪

野外料理や手仕事も!静と動のメリハリを大切に

まめとっこでは、野外料理やにじみ絵、草木染め、畑仕事など、森あそび以外の活動も行います。たっぷりと体を動かして遊ぶダイナミックな遊びだけでなく、静かに集中して手仕事するのも子どもは大好き!

出典元:森のようちえん まめとっこ

調理から火起こしまでを子どもたちが行う、まめとっこの野外料理。年長になる頃には、包丁の扱いも上達し火の性質や扱いが身につきます。みんなで作る野外料理は、おいしく楽しいだけでなく、自然と食と命の結びつきを感じることのできる貴重な原体験です。

出典元:森のようちえん まめとっこ

こちらは、古民家でのにじみ絵の様子。シュタイナー教育にも取り入れられているにじみ絵は、赤・青・黄色の3原色を紙ににじませて、色の変化や重なりを楽しむ画法です。色そのものの美しさを楽しむことで、感受性豊かな子どもたちの心に働きかけるにじみ絵の活動では、外遊びが大好きな子どもたちも、静かに自分と色に向き合います。

保護者の体験談

在園児ママから、まめとっこの魅力を聞いてみました!
・まめとっこに通わせて良かったことは、子どもにも母にも自然体でいられる居場所や仲間ができたこと。
・自分を認め受け入れてもらえるって本当に幸せなことだと、強く感じます。
・子どもだけでなく、親も子どもと一緒に成長できる。
保護者も保育に入るまめとっこならではの、家庭的であたたかな保育と仲間の輪も、まめとっこの魅力のようです。

森のようちえん まめとっこ

場所

広島市安佐南区・西区(祇園・三滝周辺)

活動日

月~木の週4日(祝日・春・夏・冬休みあり)

公式サイト

https://mametokko.jimdo.com/

定員

年少~年長 各学年4名程度

【お泊りキャンプ型】トム・ソーヤー冒険隊 森のようちえん ピクニックシリーズ(安芸高田市)

出典元:トム・ソーヤー冒険隊

「トム・ソーヤー冒険隊」の「森のようちえん ピクニックシリーズ」は、安芸高田市で年4回開催している週末イベント型の森のようちえん。2泊3日のお泊りキャンプで、自然遊びをたっぷり楽しめるのが魅力です。

季節の自然体験がたっぷり楽しめる!

出典元:トム・ソーヤー冒険隊

夏は魚のつかみ取りやキャンプファイヤー、ドラム缶風呂など、秋は果物狩りや森の音楽会など、季節ならではの自然体験が堪能できるのが嬉しいポイント。毎日の森のようちえんは難しいというご家庭も、週末のお泊りキャンプなら参加しやすいかもしれませんね。

出典元:トム・ソーヤー冒険隊

参加者の中には、初めて家族と離れるお泊りに挑戦するという子もいます。親元を離れ自然体験を楽しむお泊りキャンプは、小さな子どもたちにとって大きな挑戦かもしれません。2泊3日のお泊りを経て、一皮むけて家路につく子どもたち。その小さな背中は、たのもしく見えることでしょう。

保護者の体験談

・親元を離れはじめて合うお友だちとの時間で、子どもが充実した時間を過ごせました。
・キャンプファイヤーや自然体験など、日常ではできない経験ができます。
数々の自然遊びをギュッと凝縮して体験できるのも、自然体験キャンプならでは。リピーターが多くいるのも頷けます。

トム・ソーヤー冒険隊 森のようちえん ピクニックシリーズ

場所

鶴学園八千代校舎(安芸高田市)

活動日

年間4回・2泊3日の宿泊キャンプ

公式サイト

http://tom-camp.com/index.html

対象

年中~小学2年生 48名

他にも多数!さまざまな広島の森のようちえん

他にもある、広島のさまざまな森のようちえんを、ご紹介します。

【小学部併設】広島里山工房付属 森のようちえん&小学部(広島市安佐北区)

出典元:広島里山工房付属 森のようちえん&小学部

「広島里山工房付属 森のようちえん&小学部」は、広島市安佐北区ある小学部併設の森のようちえん。園児と小学生が一緒に活動しているため、異年齢の関わりも見られるのが魅力です。山小屋やピザ窯、畑、森のある園舎を拠点に、夏場は川遊びも楽しみます。自然遊びに精通した園長のもと、子どもたちの“あるがままに歩む姿”を大切に、体験や遊びに基づいた自主的な学びを尊重している森のようちえんです。

在校児の体験談

・自分のやりたいことができて、自由に過ごせる。
・自分たちで焼くおいしいピザや、季節の自然の恵みが食べられる。
・園長のダジャレがつい移ってしまうのは困り物(笑)
子ども発信の主体的な遊びと学びから、子どもたちは自らより良く生きる力を培っているように感じます。学びの環境は、多様性に富んでいても良いのかもしれません。

場所

広島市安佐北区

活動日

月~金の週5日(祝日・春・夏・冬休みあり)

公式サイト

http://kobohayashi.jp/hiroshimasatoyamayochien/morinoy_index.html

対象

年小~小学生、10名

【イベント型】ひろしま森のおもちゃ協会 森のようちえん+焚き火CAFÉ(三次市)

出典元:ひろしま森のおもちゃ協会

三次市のほしはら山のがっこうで月1回開催されている「森のようちえん+焚き火CAFÉ」は、「ひろしま森のおもちゃ協会」主催の“イベント型”森のようちえん。森と暮らしがつながった豊かな里山の自然の中で、さまざまな分野の遊びの達人と季節折々の自然遊びを楽しみます。畑に絵本、クラフト、歌…親子で過ごす森のひとときでリフレッシュ!

保護者の体験談

・自由に遊ぶ子どもたちと、その姿を見守る大人たちの様子にほっこり!
・豊かな里山の自然で過ごす時間に、心も体も充足します。
自然豊かな里山で過ごす時間で、大人も子どもも心満たされているようです。

場所

ほしはら山のがっこう(三次市)

活動日

毎月第二水曜日

公式サイト

https://www.morimoritoy.co/

対象

親子※子どもの年齢問わず

【未就園児親子参加】おさんぽサークル みつばのクローバー(安芸郡府中町)

広島県安芸郡府中町の「おさんぽサークル みつばのクローバー」は、森のようちえんスタイルの子育てサークル。週一回の森遊びや野外料理、季節のイベントを行う、未就園児親子対象の森のようちえんです。小さな子どもたちののびやかな育ちだけでなく、親の育ちにもフォーカスをあてて活動しています。

保護者の体験談

・子どもがのびのびと遊ぶ姿を見ると、日々の忙しさを忘れリフレッシュできる。
・まだ幼い子どもたちの感性とか情操の基盤が、親子で森で過ごした日々にあるように思う。
子どもの育ちを信じて見守るあたたかな仲間の関係は、子育て中の親子にとってかけがえのない場なのかもしれません。

場所

安芸郡府中町

活動日

週1回(祝日・春・夏・冬休みあり)

公式サイト

http://mitsukuro3.hatenablog.com/

対象

未就園児親子14組

多彩な広島の森のようちえん!のびやかな子どもたちの育ちを見守ります

広島県内にある、森のようちえんについてご紹介しました。ここで紹介した森のようちえんの他にも、広島県内にはさまざまな森のようちえんがあります。ぜひ、お近くの森のようちえんに足を運んでみてくださいね♪

担当ライター

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