療育手帳とは?発達障害グレーゾーンでも取得できる?広島市を例に解説

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療育手帳とは子供にとって取得するといいことがあるものなの?子供の発達障害を気にしながら、療育手帳とは大人が正しく理解して取得すべきと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、療育手帳とは何ですか?と聞かれて明確に答えるには、事前に情報収集しておかなければ難しいかもしれません。そこで今回は、広島市を例に療育手帳とは何か、障害の等級が関係するのか、取得方法は?といった疑問が解消できるよう解説していきます。わが子は発達障害のグレーゾーンだけど、取得できるのかな?など、療育手帳について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

療育手帳とは?

療育手帳とは簡単に説明すると、知的発達障害がある人に各自治体から発行される手帳です。福祉制度を利用する際に必要で、療育手帳を持っていると必要な支援サービス・給付などが受けられます。また、将来仕事に就くときに、周囲の配慮や支援を受けやすくなるという特徴もあります。

障害者手帳との違い

一方「障害者手帳」は総称で、一般的に療育手帳・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の3つをさします。療育手帳とは知的発達障害のある人に発行される手帳ですが、身体障害者手帳は障害分類が幅広く、視覚障害・肢体不自由・心臓機能障害ほか、身体的な障害のある人に発行されます。精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症などの精神疾患のある人に発行されます。
また、療育手帳とは受給者証と何が違うの?と疑問に思っている方もいるかもしれません。受給者証(広島市では「障害児通所支援受給者証」)とは、福祉サービスを受ける資格を持っていることを証明するもので、療育手帳とは別物です。受給者証は、身体障害・知的障害・発達障害を含む精神障害・障害者総合支援法の対象になる難病に該当する人が取得の申請対象です。(ただし難病については、定期的に対象の見直しが行われるため厚生労働省で事前に確認をする必要があります)。
療育手帳を持っていなくても、受給者証を発行してもらうことは可能です。受給者証を持っていると、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援などが利用可能になります。

療育手帳のメリットとデメリット

療育手帳を持つメリットは、知的障害児やその保護者が障害福祉サービスを利用したり、相談や支援を受けたりしやすくなることです。障害の程度により具体的な金額は異なりますが、所得税などの税金の控除もしくは減税が受けられて、預貯金の利子が非課税になるということもあります。
さらに、障害児福祉手当など、手当の受給が認められるケースも。ほかには、バスや電車などの公共交通機関が割引運賃で利用できたり、テーマパークや映画館が割引料金になったりします。
「メリットがある一方で、デメリットもあるのでは?」「療育手帳をもらうと障害と向き合わないといけないようで少し気が沈んでしまいそう…」と不安になる人もいるかもしれませんが、療育手帳を持つことで発生するデメリットはあまり考えられません。療育手帳の申請などに時間を要するという面はありますが、発行されて以降はメリットの方が多いといえるでしょう。

発達障害グレーゾーンでも取得可能?

発達障害グレーゾーンとは、定型的な発達と発達障害のあいだに属し、医学的な発達障害の条件にすべて当てはまるわけではないけれども、日常生活に困難を感じる状態をさします。
発達障害グレーゾーンの場合、療育手帳は取得できるのでしょうか?

療育手帳の取得はできない

発達障害の特性は、幼少期には断定しにくくても小学生くらいになって顕著になることが多いです。そのため、子供が小さいうちは発達障害と明確に診断されなくても、保護者は悩み事を抱えていることも。しかし、療育手帳とはB1(中度)やA2(重度)などの等級が医師と自治体によって決められ、本人や保護者への聞き取りで発行するか判断されます。(※等級は自治体によって表記が異なります)そのため、医師に発達障害と診断されず発達障害グレーゾーンに該当した場合は、療育手帳が取得できません。

取得できなくても利用できるサービスがある

療育手帳を持っていなくても、発達障害グレーゾーンの人が受けられるサービスや支援はあります。発達障害と診断されなくても、日常生活で困難がある場合や、医師や専門家から発達支援の必要があると認められた場合には「通所受給者証」の申請が可能に。「通所受給者証」を取得すると、未就学の0~6歳の子供は、児童福祉法に基づき集団及び個別での療育を行う「児童発達支援」が受けられます。就学児童は、「放課後等デイサービス」が利用可能になります。まずは日常生活で困っていることを把握して、必要な支援を受けられる機関に相談しましょう。

広島市で療育手帳を取得する方法は?

広島市で療育手帳を取得する際、18歳未満の方の場合はまず児童相談所へ電話で連絡しましょう。対象者が18歳未満と18歳以上では判定施設が異なるため注意が必要です。判定を受け、療育手帳取得を申請する場合は、住んでいる区の区役所福祉課へ必要書類を持っていきます。

●必要書類
・最近の上半身の写真(縦4cm×横3cm)2枚 ※顔が確認できる、正面・胸から上の上半身
・身体障害者手帳(手帳の交付者のみ)
・本人確認書類
・個人番号がわかるもの

申請時の不明点や気になることがあれば、下記の参考サイトをもとに各区役所の福祉課へ電話でお問い合わせください。

参考:療育手帳の取得手続きについて|広島市

広島市で療育手帳を持っていると受けられるサービス

広島市では、療育手帳を持っている方が利用できるさまざまなサービスがあります。利用可能なサービスは障害の程度によって異なり、「身体障害者手帳・療育手帳で受けられるサービスガイド」にアクセスして、2分程度の7~9問の質問に答えることでサービス内容を確認できます。受けられるサービスの例としては、医療費の助成・障害児福祉手当の支給・旅客運賃の割引・広島県思いやり駐車場利用証の交付などです。

参考:身体障害者手帳・療育手帳で受けられるサービスガイド|広島市

また、スマホで療育手帳を管理できるMIRAIRO(ミライロ) IDというアプリもあります。療育手帳をスマホで提示でき、療育手帳を持っていることで受けられるサービスについても、スマホで簡単に取り扱いができます。飲食店やレジャー施設などで使えるクーポンが集約されていたり、障害者価格で販売されているチケットをオンライン購入できたり、便利なアプリです。使い方も簡単で、スマホにアプリをダウンロードし、持っている療育手帳を撮影して登録完了です。

●サービスの一例
・サッカー観戦の車いす席チケットを購入できる
・ミライロIDのQRコード提示で駐車場を障害者割引金額で利用できる
・レンジ調理ができる食材をミライロストアで購入できる

参考:MIRAIRO ID

療育手帳の取得に迷ったら、まずは相談してみましょう

療育手帳とは何か、手帳の種類や取得のメリット・取得方法などを解説しました。子供の発達が気になる方や療育手帳の取得について悩んでいる方は、まずは医療機関や相談窓口を利用してみてはいかがでしょうか。

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担当ライター

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