広島ママパパが知っておきたい『HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)』って

2025年現在、子どもへのHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の定期接種が推奨されていることをご存知ですか?およそ10年前、副反応があることで一度は推奨が控えられたHPVワクチン。子宮頸がんを9割(※)予防できるとされていますが、なんとなくマイナスイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、広島の子どもを持つママ・パパに向けて、HPVワクチンについて解説。女の子だけでなく男の子にも関わるHPVワクチンについて、しっかり理解していきましょう。
(※)HPV16型、18型のほか5種類のHPVに対応するシルガード9を接種した場合
なぜHPVワクチンは今まで推奨されてなかったの?
HPVワクチンが定期予防接種として開始されたのは、平成25年度から。小学6年生~高校1年生までの女の子を対象とした予防接種でしたが、接種後に疼痛や運動障害が引き起こされたことで、同年6月14日以降、国はワクチンの推奨を見合わせることを決めました。
しかしその後、専門家が継続的に研究を重ね、HPVワクチンの安全性に特別な懸念がないことや、副反応のリスクよりもメリットのほうが上回ると認容。そして令和4年4月以降、ほかの定期接種と同じように、広島市でも個別の推奨が再開されています。
HPVワクチンの必要性やリスクを理解しよう!
そもそもなぜ子宮頸がん予防にワクチンが必要なのか、正しく理解していますか?日本では毎年、約1.1万人が子宮頸がんにかかっており、中には亡くなったり、子宮を失ったりする方もいるそうです。親子で納得してHPVワクチンを接種するためにも、まずはワクチンの有効性やリスクを知っておきましょう。
子宮頸がんを予防するHPVワクチンとは?
子宮頸がんは、主に性交渉によって、ヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することでかかる病気です。HPVワクチンは、子宮頸がんの原因であるHPVの感染を防ぐ目的で接種します。子宮頸がんは初期の段階では自覚症状がわかりにくく、通常の検診では見つかりにくいケースも。
定期健診との併用で早期発見を目指すためにも、HPVワクチンを10代のうちに「1次予防」として接種することが大切なんです。また、HPVワクチンは女性だけが接種するものと思われがちですが、男性が接種すれば将来のパートナーを守ることにも繋がり、直腸がんや陰茎がんの予防にもなることがわかっています。
正しく知れば怖くない!HPVワクチンのリスク
HPVワクチンは筋肉注射のため、接種後は注射した部分の痛みや腫れ、赤みなどが現れる可能性があります。また、パパママが懸念する重い副反応については、手足の動かしにくさや、広範囲の痛みが主な症状です。このような重篤な症状が起こる割合は、1万人あたり約2~5人(※)とのこと。接種の際は、ワクチンの種類や年齢によって2~3回打つ必要がありますが、気になる副反応が現れた場合は次回の接種をやめることも可能です。万が一接種後に不安な症状が出た場合は、接種を行った医療機関やかかりつけ医に相談しましょう。そのほかの困りごとは、広島県内に設置されている相談窓口も利用できます。
(※)入院相当以上の症状があった患者の割合です。医師や企業の判断による報告をもとにしているため、必ずしも重篤でないものも人数に計上される場合があります。
広島市のHPVワクチンの接種費用や対象者は?
HPVワクチンは任意接種も可能ですが、費用は4~10万円と高額です。そこで広島市では、定期接種対象者に向けてHPVワクチンを無料で受けられる助成制度を導入しています。お子さんが該当していないか、ぜひチェックしてみてください。
通常定期接種の対象者
通常の定期接種の対象者は、小学6年生(12歳になる年の年度初め)~高校1年生(16歳になる年の年度終わり)までの女子に限定されています。
キャッチアップ接種は2025年3月まで!
HPVワクチンの定期接種が差し控えられた時代に、ワクチン接種を逃してしまった方は無料のキャッチアップ接種が受けられます。対象となるのは、平成9年~19年度生まれの女性。無料になるのは2025年3月末までに1回以上接種した場合に限定されるため、利用したい方は急ぎましょう。
男子への費用助成はある?
県外の自治体では、男子のHPVワクチンの任意接種を助成するところもあります。しかし広島市では令和6年度時点で、男子への助成制度は用意されていません。
対象ワクチンの特徴と接種スケジュールをチェック!
HPVワクチンの定期接種として使用されるワクチンは3種類。子宮頸がんの原因となるウイルスをどれだけカバーできるかや、接種スケジュールに違いがあります。今回、ワクチンの特徴や接種回数をまとめました。どのワクチンを接種するかは、医師と相談しながら決めてくださいね。
ワクチン名 |
<特徴と接種スケジュール> |
2価:サーバリックス |
特に感染リスクの高い16型・18型のウイルスに対応し、子宮頸がんを50~70%予防する。 初回・初回から1ヶ月後・初回から6ヶ月後の計3回 |
4価:ガーダシル |
16型・18型・6型・11型のウイルスに対応し、子宮頸がんを50~70%防ぐ。また、6型、11型性感染症の尖圭コンジローマも予防する。 初回・初回から2ヶ月後・初回から6ヶ月後の計3回 |
9価:シルガード9 |
4価で対応するウイルスに加え、31型・33型・45型・52型・58型のウイルスにも対応。子宮頸がんを80~90%予防する。 【15歳未満の場合】初回・初回から6ヶ月後の計2回 【15歳以上の場合】初回・初回から2ヶ月後・初回から6ヶ月後の計3回 |
子どもを子宮頸がんから守るためにHPVワクチンについて考えてみよう
HPVワクチンは、子宮頸がんに対する有効性や、副反応リスクの低さが公的に認められているワクチンです。大切なお子さんが将来子宮頸がんになって困らないためにも、今一度HPVワクチンの必要性について考えてみましょう。ぜひこの記事を参考にHPVワクチンのメリットとリスクを正しく理解して、広島市の助成制度を確認してみてくださいね。
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担当ライター