妊娠10週【NT肥厚】の疑い。私がセカンドオピニオンを決意した理由とは?
希望していた第二子を妊娠!母子手帳をもらって、ワクワク♡ドキドキではじめての妊婦健診を受けました。ところが…健診中の先生の顔が優れず、何度もエコーを繰り返しています…その理由はNTの肥厚が疑われていたからだったのです。
母子手帳を交付され、はじめての妊婦検診でのできごと
第一子を出産して、約1年半後に待望の第二子を妊娠しました。陽性反応が出た妊娠検査薬を見て、夫と一緒に大喜びしたことを覚えています。
第一子の妊娠・出産の記憶がまだ鮮明に残っていたので、前回の経験をフルに活かし、頭の中ではすでにこんなシミュレーションをしていました。
- 胎嚢や心拍が確認できるようになる妊娠6週以降に産婦人科を受診する
- 心拍が確認されたら、区役所の保健センターへ母子手帳をもらいに行く
- 再び産婦人科を受診して、妊婦健診の日々がはじまる
- つわりやお腹のハリに耐えながら、約9ケ月間お腹の中の赤ちゃんと一緒に過ごす
- 妊娠10ケ月ころ、気合いで産む!
その後、シミュレーションどおりにことは進み、ついにはじめての妊婦健診の日がやってきました。
検尿や体重・血圧などを計測したあと、超音波検査を受けました。先生が赤ちゃんのサイズを計って終了!と思いきや、妙に検査時間が長いのです。
そして先生から「もしかしたら、少しNTが厚いかもしれない。」と言われたのです。
NTとは?妊娠初期の胎児にみられることがある
NT(エヌティ)については「丸の内の森レディースクリニック」の公式サイトにわかりやすい解説があったので、以下に引用させていただきました。
◎NT(胎児頚部浮腫とも言われます)とは
NT(Nuchal Translucency)は赤ちゃんの首の後ろに見える黒いスペースのことです。これはリンパが溜まっているスペースで妊娠初期の赤ちゃん全員に観察されます。「浮腫」という日本語訳は実は適切ではありません。また、よくNTが「ある」「ない」という表現がされていますが、それも適切ではありません。胎児には皆このスペースがあり、厚みの程度によっては問題になることがあるということです。
NTは11週~13週(10週~14週と書かれているものもありますが10週や14週では往々にして不正確になり、赤ちゃんのCRL(頭殿長)が45~84mmである11週~13週がベストです)に測定されるべき超音波マーカーのひとつです。この時期の超音波マーカーは、NTの他に三尖弁逆流(心臓にある弁の一つです)、鼻骨の有無、静脈管の波形、心拍数があります。
リスクの指標となるものを「マーカー」と呼んでいますが、マーカーがあるからと言って、異常や病気を意味する訳ではありません。
妊婦健診などでNTの肥厚が疑われた際、「あなたの赤ちゃんはダウン症などの染色体異常の可能性が高い」などという説明がなされることが今でもあるようです。
この場合「染色体異常の可能性が高い」というのは「NTが厚くない赤ちゃんに比べて」という意味であって、「正常な子である可能性より異常の可能性が高い」という意味ではありません。「3mmを超えると問題がある」とする記載を見かけることがありますが、NTが3mmの場合、他の要素を全く検討に入れなければ染色体異常が見られるのは3~4%で、93%は正常な赤ちゃんです。その他の超音波マーカーに問題がなかった場合、ダウン症、18トリソミー、13トリソミーの確率はもっと下がります。NT単独で赤ちゃんの病気が分かったりするものではないことをご理解ください。
それまでにもNTについては聞いたことはありましたが、当事者になったことにより正しい知識を学ぶことができました。
広島大学病院 遺伝子診療部への受診を提案される
胎児のNT肥厚が疑われることから、「広島大学病院 遺伝子診療部」で検査をすれば赤ちゃんのことを詳しく知ることができると先生からアドバイスをいただきました。
遺伝子診療部とは遺伝や遺伝子に関するあらゆる悩みに対し、臨床遺伝学の専門医師らによる遺伝カウンセリングを実施する専門の部門です。ちなみに遺伝子診療部がある大学病院は日本でも数ケ所にしかなく、広島大学は中四国地方で唯一遺伝子診療部を設置しています。
さっそくかかりつけのドクターに広島大学病院への紹介状を書いていただき、診察の予約を取るため電話をかけました。
対応してくださった遺伝子診療部のスタッフの方のお話によると、
- 家族の今後に関わる大切な話し合いをするためのカウンセリングはとても重要なものであり、必ず夫婦そろって受診しなくてはならないこと(平日午後)
- 本番のカウンセリングの前に、相談に至るまでの過程・相談者の意向・説明を聴く前の準備などを話し合うプレカウンセリングを行うこと
- その後、専門医を交えた本カウンセリングにより今後の対策・検査・治療についての相談をすることなど
セカンドオピニオンを決意!
さらに胎児の遺伝子の検査は妊娠15~17週ころまでに受けることが推奨されているため、実際に遺伝子診療部の門を叩くか、別の選択をするのかの判断に迫られていました。
そこで夫と一緒にお腹の赤ちゃんのこと、今後の家族の生活のことなど、お互いの気持ちを確認するための話し合いをしました。私たち夫婦の結論は、
「赤ちゃんにどんな特徴があったとしても、守りたい!」ということでした。
そんな私たち夫婦の想いをかかりつけの産婦人科ドクターに相談してみたところ、「遺伝子診療部を受診するのはやめて、ここより精度が高い検査機器を持っている先生のところでもう一度診てもらう?」と提案してくださったのです。
遺伝子診療部では、結論を出すまで夫婦そろって数々の手順を踏まなければなりませんが、産婦人科クリニックでの再検査であれば通常の妊婦健診と同様のプロセスで診てもらえるとのことでした。
どんな結果が出ても“子どもを守る”という決心はできていましたが、別の機器を用いた別の先生による検査結果を聞けることは、今後の方針に役立てるのではないか。という想いでセカンドオピニオンを決意しました。
妊娠12週で訪れた紹介先の産婦人科では、かかりつけの産婦人科よりも大型の超音波検査機器が完備されており、40分ほどかけてNTだけでなくさまざまな項目をチェックしていただきました。
診断結果は、「特別な異常はみられない」とのこと。また今回の結果は、現段階のエコー検査によるものでしかなく、胎児に異常がないと断定する材料にはならないこと。また正確な情報を知りたければ、精密な検査をするしかない。ということもアドバイスいただきました。
確かなことはわからないという状況に変わりはありませんでしたが、セカンドオピニオンを行ったことにより、「私たちならきっと大丈夫!2人のママになるんだ!」と強い心を持てるようになったと思っています。
視野は広く☆選択肢はひとつじゃない!
妊娠・出産は、ごくありふれたことに感じるかもしれません。しかし本当はとっても奇跡的なこと。予想外のできごとに直面することだってあります。そんな時こそ焦らずしっかりと前を向き、夫婦の想いを表現できたことが良かったと思っています。選択肢はひとつではありません。ぜひ頭を柔軟に、皆さんにとって最善の選択ができることを願っています。
担当ライター