崖っぷちの“おっぱい観音”で、スリルあふれる安産祈願!
私が2人目の子どもを妊娠したのは、38歳のときでした。30代後半ともなると、やはり実感するのが体力の衰え。不安のあまり、1人目のときはしなかった安産祈願に行こう!と思い立ちました。足を運んだのは、安産のご利益で有名な地元の観音堂。しかしそこは、徒歩でしかたどり着けない海の崖っぷちでした!スリルあふれる安産祈願の体験談です。
38歳で2人目妊娠は、体力的にキツい!
私が安産祈願に行こうと思ったのは、つわりが落ち着いてきた妊娠5ヶ月ごろ。そのころはまだフルタイムで仕事を続けており、長男(保育園児)の世話もしなければならなかったこともあって、なかなかハードな毎日でした。一日の終わりには、体のだるさやしんどさでぐったりしてしまうこともしばしば…。
考えてみれば、32歳で第一子を出産して早6年。共働きの忙しさを言いわけにして、第二子の妊娠をずっと先延ばししていたことを、今さらながらに後悔していました。健康には気を使ってきたつもりでしたが、アラフォーともなると体力の衰えは避けられません。お腹が大きくなるにつれ、だんだんと「無事出産できるのかな?」とネガティブな心境になっていました。
募る不安から安産祈願を決意
夫から「安産祈願に行かない?」と提案されたのは、ちょうどそのころでした。ふだんの私なら「安産祈願?こんなときだけ頼られても、神様も迷惑だよ~」などと、不信心極まりないことを言ったと思いますが、そのときだけは「行く!」と即答。もう神頼みでもなんでもいい、この際子どものためにできることはしておこうという、すがるような気持ちになっていたのでした。
当時、私たち家族が住んでいたのは、広島県福山市。参拝先は、地元で安産と子授けのご利益で有名な「阿伏兎(あぶと)観音」に決めました。さすがの私も名前だけは耳にしたことがある、超有名な観音堂です。所在地をナビで確認すると、海に突き出した岬の先端のようでした。「海を見ながらドライブできるな~」と、そのときはまだ気楽に考えていました。
崖の上に広がるおっぱいパラダイス!
「岬の先端にある」ことの意味を知ったのは、かなり離れた場所にある駐車場で車を降りたときでした。実は車で行けるのは、この駐車場まで。そこからは徒歩で海沿いの遊歩道を進み、さらに本堂まで長い石段を上る必要があるとのこと。正直「まじっすか観音様」という気分でしたが、安産のためには仕方ありません。お腹をさすりつつ、狭くて急な石段を一歩一歩上りました。日頃の運動不足がたたり、最後は夫に手を引っ張ってもらう始末。しかし、本堂にたどり着くと目の前が突然開け、みんなで思わず「うわ~すごーい!」と歓声を上げました。そこに広がっていたのは、青い海と島々の絶景!お堂自体が海に突き出しているため、視界を遮るものが何もありません。海風と波音が心地よく、思わず深呼吸したくなるほどの開放感に包まれました。なお、観音堂に一応手すりはありますが、大人のひざくらいの高さです。明らかに床も(なぜか海に向かって)傾いており、うっかりバランスを崩したら…と思うと、胃がキュッとなるほどのスリルが味わえました。
観音堂をのぞくと、さらに驚きの光景が待っていました。決して広いとは言えないお堂の壁一面に、びっしりと“おっぱい絵馬”がかけられていたのです。安産祈願と書かれた絵馬に、手縫いらしき布製のおっぱいを2つ貼りつけた、とてもユニークなデザイン。どのおっぱいもふっくらとした美乳で、中には乳首や乳輪まで再現したリアルな作品も。なんでもこの観音堂には、安産と子授け以外に、母乳の出をよくするご利益もあるそうです。
じっと見つめているうちに、このお堂で安産祈願をした数多くの人たちの気持ちが伝わってきました。ここに絵馬を奉納した人たちも、きっと今の自分と同じくらい不安を抱えていたんだろうな…などと想像すると、とても他人ごととは思えません。お賽銭を入れて手を合わせて祈ると、「私ももうひと頑張りしよう」と前向きな気持ちになれました。
帰りがけ、私はおっぱいパワーにあやかろうと、社務所で「おっぱい型のお守り」(画像)を購入。小さな絵馬に、木製のおっぱいが2つ並んでいる、キュートなお守りです。ポーチに入れ、出産まで肌身離さず持ち歩きました。
陣痛から4時間で安産。「おっぱいお守り」のおかげ
その後、切迫早産で1ヶ月入院するなど紆余曲折があり、さらなる不安も襲ってきましたが、結局予定日より3日ほど早く無事出産。陣痛が始まってから約4時間、分娩室に入って2時間ほどの超安産でした。入院セットの中にしのばせた「おっぱいお守り」のおかげか、母乳の出もまずまず。病室で夫と2人、「おっぱい観音様(←勝手な略称)のおかげだね」と、しみじみ語り合ったものです。
「安産祈願なんて気休めでしょ?」と思ってた
第一子のときはしようと思わなかった、安産祈願。神頼みなんてしなくても…と思っていましたが、無事出産できた今となっては「やっておいて本当によかった!」と思います。出産はいつの時代も、そして何度目であっても、命がけの行為に変わりありません。妊娠中はいろいろと不安がつきませんが、私のように安産祈願で解消できる不安もあります。おっぱいパワーを分けてもらえる崖っぷちの観音堂は、ぜひおすすめですよ。
担当ライター