人情味あふれる病院の先生と歩んだ妊娠から出産までの全記録
友人から良いと紹介されて行った産婦人科の先生はちょっと強面で妊婦に対して厳しめの先生でした。妊娠中から産後まで何度か泣いてしまったときも、叱咤激励をしてくれた先生。そんな肝っ玉先生と歩んだわたしの妊娠から産後までの病院エピソードを紹介します。
初めの出会いが衝撃!ただただ怖いとしか感じなかった先生の第一印象
先生との初めての出会いはわたしにとって衝撃的なものでした。第一子を妊娠した当初、どこの産婦人科で出産するかまだ決めかねていたわたし。友人に付き添ってもらい病院を見学する程度の軽い気持ちでこの日病院を訪れていました。診察室に入った瞬間、空気は一変。先生の第一声は、「そんなことじゃ出産までもたないよ!」でした。友人に付き添ってもらって病室に入ろうとしたわたしを見て不安を覚えた先生からの最初のお叱りだったのです。先生の口調は終始厳しめで笑顔はあまりありませんでした。後に、その理由が分かるのですが、それまではただただ怖かったのを覚えています。
診察初日の最初の洗礼
先生の印象は怖かったものの、看護師さんや助産師さんのフォローもあり、診察後この病院なら出産までしっかり面倒をみてもらえるような安心感がどこかにありました。結局この病院で出産することに決めたわたしは、後に診察初日の先生の厳しめの態度は、妊婦への最初の洗礼であることが分かったのです。そこには、お腹の赤ちゃんをしっかり育てていくためにお母さんには気持ちをしっかり持ってほしいという先生の思いが込められていました。結局退院するまで、わたしは先生に何度もしっかりしろよ!と、叱咤激励され続けることになるのですが・・・。
先生が怖く見える理由
そもそも先生は体格が大柄な男性だったこともあり、声も大きく、話すだけですごみがあるような先生でした。そのためか普段は怒っていなくてもわたしのように怖いと感じている人が多かったのです。しかし一方で、赤ちゃんの様子を話しているときの先生は笑顔でいることが多く、冗談を言う場面も多くありました。妊娠当初は不安だらけだったわたしも、先生のおかげでだんだんと赤ちゃんを楽しみに待つことができる余裕を持てるようになっていったのです。
まさかの入院?こんなときに時 にも先生は怖い
妊娠初期から中期にかけて、出血が多かったわたし。しばらくは張り止めの薬などで様子をみていたのですが、数日後、生理くらいのまとまった量の出血が!そのまま入院となりました。不安な気持ちで押しつぶされそうだったわたしは、面会時間ぎりぎりまで主人に付き添ってもらうことに。しばらくぽろぽろと涙がとまらなかったのですが、そんなときも先生はわたしにあえて厳しく対応してきました。主人が帰った後は、度々病室をのぞきに来て大丈夫、大丈夫と声をかけてくれた先生。厳しい言葉をかけながらも、本当はとても心配してくれているんだということがよく伝わってきたのです。そのときから先生の「しっかりせんといけんよ」という言葉は厳しくも温かく感じることができました。
看護師さんや助産師さんのありがたいフォロー
厳しめなところもある先生に代わって、看護師さんや助産師さんはどんなときでもとても優しく、お母さんのように頼りがいのある人たちばかりでした。妊娠後期までつわり症状がきつかったわたしは度々気分がふさぎこみ気味になることも。そんなときも笑顔になれるような看護師さんや助産師さんのフォローにかなり勇気づけられたのです。
バースプランに思わず涙
出産日が近づいてくると、助産師さんと一緒にどんなお産にしたいか、バースプランを話し合います。出産方法や立会い人をどうするかなど、事前に決めておいたことを伝えるだけかと思っていたため、あまり深くは考えていなかったわたし。しかし、助産師さんから実際に聞かれたことのほとんどが、わたしの生い立ちから性格まで、全てわたしに関することばかりの内容だったのです。話すうちに次第に助産師さんに心を開いていったわたし。不思議なことに後半は涙が止まりませんでした。話し合い後は、心にたまっていた不満や不安感やなどを一気に吐き出せたようなすっきりとした気もちになることができました。看護師さんや助産師さんが一人ひとりの妊婦の気持ちに向き合おうとしてくれる姿に感動したのを覚えています。
マタニティーブルーを支えてくれた先生の言葉
妊娠後期になると、産後の生活の不安から少し鬱っぽくなることもあったわたし。そんなわたしに冗談をまじえながら励ましてくれたのも先生でした。広島の方言で冗談を言いながら豪快に笑う先生の姿にとても勇気づけられました。そんな先生がわたしに言ってくれた言葉があります。それは、「あんたは一人じゃない。お腹の赤ちゃんはいつでもあんたの味方なんじゃけん」という言葉でした。心の中でぴんと張りつめていた糸がゆっくりほどけていくのが分かりました。普段は厳しいけれどいざとなったら味方してくれる先生の優しさに随分助けられたのです。
先生がわたしに伝えたかったこと
見た目が強面の先生に最初の洗礼を受けたわたし。あのときはただただ怖かった選生と今こうして笑顔で話せるようになっているなんて想像もできませんでした。初めて受診したあのとき、怖いだけじゃない先生の温かさを感じ取ったわたしの勘は正しかったのです。先生はわたしに、不安なことがあってもまずお腹の子を信じなさいと言いました。本当に大変なのは子供を生んでから後のこと。それまでにお母さんとしての自覚を持ってもらいたかったのだと思います。結果、第二子もここの病院で出産しました。初めての妊娠のときのような先生からの叱咤もなく、無事出産を終えることができたのです。
母親になるために必要だった厳しさ
初めての出産は全てが不安で、落ち込むことも多かったわたし。しかし、病院の先生の必要以上の厳しさはわたしが母親になるためには必要だったのだと思います。先生や看護師さん、助産師さんと歩んできた妊娠生活はわたしにとってとても大切な思い出になっています。
担当ライター