不妊治療でママに!大変だけど感動する体外受精実体験
不妊治療と言われて思い浮かぶワードが人工授精や体外受精などではないでしょうか。私は治療スタイルのひとつである体外受精で妊娠しました。私が不妊治療で体験した体外受精までの道のりと、体外受精体験時の様子、心構えなどをご紹介します。
人工授精からステップアップし体外受精へ
私の場合人工授精を約半年間行ってみましたが、上手くいかず…。不妊治療を行うにあたり、なぜ妊娠できないのか明確な理由が発見できない方は大勢いるようです。私たち夫婦もそのうちの一組でした。そのため人工授精を実施している間も、「もしかしたら次で成功するかも」といった気持ちで半年間人工授精を続けていたのです。人工授精を行って3~4回目の検診時、担当医からはステップアップ(体外受精へ切り替える)を検討してみては?という話もあり、そのころから夫婦で検討を開始。しかし人工授精と体外受精ではかかる費用も倍以上かかり、通院の頻度や薬の投与、精神面での負担などはより一層かかる治療であることから、すこし足踏み状態が続きました。
それでも体外受精を始めようと切り替えができたのは「目的は妊娠すること」と、夫が言ってくれた一言。約半年かけてもダメだった人工授精をきっぱり諦めて、可能性のある体外受精に挑戦しようと二人で決めることができました。
初の体外受精は自己注射との闘い
私が通っていた不妊治療専門病院では、体外受精にもさまざまなタイプの治療法がありました。簡単に言えば治療期間中に使用する薬の違い、治療時間の違いです。私の場合一人目の体外受精は2度実施しました。その内の1度目は「ピルロング法」、2度目は「ピルアンタゴニスタ法」。
初めての体外受精で大きな試練となったのが、薬の投与でした。体外受精を行う場合、生理開始日を1日目とすると、体外受精が完了するまで約2ヶ月弱必要です。この間に細かく薬を飲む時期が指定され、薬の中には自己注射、つまり自分で注射をするという処置も含まれています。この自己注射が初心者には難関でした。私の場合、採卵までの準備段階で採卵誘発剤を腹部への注射。胚移植前から移植後にかけて、尻部への黄体ホルモン注射と2段階に分けて自己注射が必要でした。
注射の方法は看護師さんから習います。細かいルールもあり、血管に刺さないようにすることや、針を刺した後に出血がひどい場合はやり直しが必要なことなど、初心者にとってはかなりドキドキする自己注射。自己注射が必要な期間は、毎日気が重い日々が続きました。しかし回数を重ねるごとに容量が分かり、思い切りが付けばスムーズに進むように!脂肪の多い部位に刺すので痛みも少なく、恐怖にさえ勝てば乗り切れることを学んだ自己注射体験でした。
採卵は手術同様でビックリ!
さまざまな準備を経て経過観察を定期的に行い、いよいよ卵巣にできる成熟した卵胞を摘出する採卵を行うことに。この採卵時には麻酔を使用し、手術のような流れで約半日をかけて卵胞の摘出を実施。採卵日には夫の精液提出も必要で、精液チェックで問題がなければ採卵した卵子と授精させ培養を行っていきます。
採卵を行った日は朝から飲食が禁止だったり、当日の入浴は禁止だったり、採卵時の化粧やマニキュア・指輪などのアクセサリー・コンタクトは禁止だったりなど細かい指示もありました。採卵は麻酔をしているので術中に大きな痛みはありませんが、術後に採卵の刺激で卵巣が腫れてしまうこともあります。私も2度目の採卵後、卵巣が腫れてしまいました。このときは生理痛のような痛みや腰の重い感覚があり、移植は1ヶ月先送りに…。こんなパターンも起こりうるほど、採卵は身体に負担の大きいものだと知りました。
採卵日の翌日には上手く授精できたかどうかの連絡が病院からあり次のステップに進めるかどうかが決定。授精が正常に完了し順調に胚(受精卵)の分解が進んだ場合と、子宮や卵巣に異常が発生していない場合に、採卵から数日後に胚移植が実施されます。
体外受精でしか体験できない胚ウォッチング&胚移植
体外受精を行った人しか経験できないのが、授精した胚の様子を目で見ることができる点です。順調にいけば授精後数日をかけて受精卵は分解が進んでいきます。この授精した胚には発育段階を示す評価が数字とABCで振り分けられており、この評価は体外受精の成功率にも繋がる指標と言われるものです。
私はこの分解が進む胚を見て感動したことを覚えています。ひとつひとつ違う形の胚は、シャボン玉のように美しくて生命の神秘を間近に感じることができました。この体験はもしも不妊治療で子どもを授からなかったとしても、意味があったと思わせてくれるほど感動するものだったのです。
そんな胚は医師の判断により状態のよい評価の胚から胚移植されます。移植を行う日は、採卵同様に手術室で実施されますが、採卵時のような麻酔や食事制限などはなく、短い時間で実施。採卵も胚移植も同日に複数の患者が行うので、待ち時間は必要ですが移植は2~3時間程度で終了しました。
体外受精で不妊治療の素晴らしさを実感
体外受精は時間やお金はもちろん、精神面でも大変。でも体外受精は本来なら見ることのできない授精した胚を自身の目で見ることのできる、生命の神秘を体感することのできる体験になるはずです。色々な思いを持ちながら行う不妊治療でしたが、この経験は私の人生にとって貴重で一生忘れることのないものになっています。
担当ライター