男性ばかりの職場で「妊婦」は働きにくい?妊娠してから考えた仕事のこと
働く女性にとって、妊娠、出産は大きなターニングポイント。スムーズに産休に入れる人もいれば、「今までと同じように仕事ができるのかな…?」「今抱えてる仕事はどうしよう…」と不安に襲われる人もいるでしょう。私も妊娠を機に、仕事について深く考えた一人です。今回は、男性ばかりの職場で妊婦として過ごした私の体験談をご紹介しましょう。
SEとして働いていた当時の私
私の妊娠が分かったのは、結婚してから半年後。ちょうど、地元の田舎から広島へ出てきて、今の会社に就職してから3年目の頃でした。
私が働いていた会社は、広島に本社を持つ某IT企業。システム開発や導入、メンテナンスなどを主に手掛けるシステムエンジニアの会社です。その頃の私はというと、朝の7時半には出社し、夜の22時過ぎに帰宅するという日々。土日休みの会社であったにもかかわらず、週に2日休めるのは珍しく、休日出勤は当たり前という生活でした。さらに、週の大半は出張。広島から東京へ行き、次の日には名古屋に行って最後には岡山…というハードな出張も度々あります。入社3年目とはいえ、まだまだ業務をこなすのにいっぱいいっぱいだった私は、身も心もへとへとの毎日。「きつい」「辛い」と感じる頭の隙間もないほど、仕事のことしか考えていませんでした。
そんな日々を送っていたある日。6月だというのに「寒気がする…」とカーディガンを着ている私を見て、同期が「もしかして…妊娠?」と一言。少々体調が悪くても「仕事が忙しいからかな?」くらいにしか思っていなかった私は、初めて「え!?妊娠!?」とその可能性に気づいたのです。
今思えば、あんなにボロボロの状態でよく妊娠できたな…と不思議でなりません。息子が「ママ!少し休んで!」と飛んできてくれたのかも…。
妊娠が分かってまずしたこと
妊娠が分かってまず思ったのは、「今のようなペースでは働けない」ということ。食べづわりのあった私は、客先での打ち合わせや出張に耐えられるとは到底思えず、すぐに上司に相談することにしました。
このときを境に、私の働き方は一変。出張などの社外の業務は一切せず、社内業務を担当することに。仕事量もかなりセーブしてもらえたため、以前のように残業が続くこともありません。めまぐるしく働いていた頃が嘘のように、ゆったりとした日々を過ごすようになりました。
周囲の変化と自分の変化
妊娠するまでの私は、職場での自分を「女性」と意識したことはあまりなかったように思います。なぜなら、多くのIT系企業がそうであるように、私の職場も男性9割超に対し、女性1割未満という圧倒的な男性社会。当然、昼に同僚とオシャレなカフェでランチするなんてことはなく、上司とラーメン屋や立ち食いソバに行くのが普通でした。私自身、「女性」「男性」を区別しない職場に居心地の良さを感じていたため、「女性として働く」ということを特に意識することもなかったのです。
そして訪れた、妊娠。
日に日に大きくなるお腹と出社する日々に、「私は何をしにここに来ているんだろう…?」と考えるようになりました。私がしなくなった仕事は、周囲の誰かが引き受けることになり、私が残業せずに帰った日も同僚は深夜までかかって仕事をこなしている…。そんな現実に、今までの”やりがい”や”連帯感”は感じることができなくなっていきました。そうなってしまったのも、私が女性であり、妊婦だから。妊娠自体はとても嬉しいことのはずなのに、後ろめたさと申し訳なさで日に日に肩身が狭くなる思いでした。
なぜ、私は妊娠したことでこんなにも働きにくさを感じてしまったのでしょうか?
私の職場は、
・育休や産休など、女性のための制度は整っている
・妊娠時期の体調の変化に合わせて、仕事をセーブしてもらえる
といった、女性に対して十分すぎるほどの手厚いサポートをしてくれる会社でした。
しかし、一方で、
・現場の雰囲気は、やっぱり男性中心
・男性と女性が対等なように見えて、実は女性が男性社会に合わせなくてはならない
といった環境だったように思います。
きっと、同じような環境で働いている女性もいるのではないでしょうか?
結局、私は妊娠7ヶ月目で退職することに。「仕事は続けたい、妊娠する前のように思いっ切り働きたい」という気持ちと、「子育てしながら今までのようには働けない、職場の人に後ろめたさを感じながら働きたくない」という気持ちが、最後までありました。
「今は、女性も男性同様に働ける時代」と軽く考えていましたが、まだまだ壁も多い現実を痛感。もちろん、妊娠、出産を経てママになってからも、以前と同様に職場復帰を果たしている女性もいます。ただ、男性ばかりの職場、昔ながらの男性中心の雰囲気が残っている職場では、私と同じように働きにくさを感じてしまう人もいるかもしれませんね。男性ばかりの職場でも、女性としてのびのびと働くためにはどうすればよかったのでしょうか。
女性の働き方について感じたこと
現在の私は、息子の子育ての傍ら、別の仕事に就いています。その仕事というのは、前職から一転、女性ばかりの職場。私と同じように子育て中のママ、第2子妊娠中のママなど、さまざまです。以前のような働きにくさはないものの、やはり子育てと仕事の両立に悩む毎日。仕事のことだけを考えればよかった妊娠前の私とは、明らかに働き方が違います。
私がたどり着いた答えは、「子育てをしながら働くためには、誰かの力を借りなければ成り立たない」ということ。前職を辞めることになったのは、「誰かの力を借りる」ことに必要以上に罪悪感を持ちすぎていたからだと思います。今思えば、職場の同僚や先輩、上司たちは、「今はゆっくり休んで、無理するなよ!」と声をかけてくれていました。中には、「女性がいると、仕事が増えて…」という人もいたかもしれません。ただ、そのような意見ばかりを気にしていては、いつまでたっても働きにくいままですよね。
それよりは、助けてくれた人に感謝することの方が何倍も大切なこと。今では、「女性として働く」ためには、「周囲に頼ること」「助けてくれた人への感謝を忘れない」ということが必要なのかなと感じています。
ママとして自信を持って働けるように…
今まさに、仕事を続けようか、辞めようか悩んでいるという妊娠中の女性には、ぜひ周りに頼ることを考えてみて欲しいと思います。自分自身が子育て中のパパである、もしくは孫がいるという男性社員にとっては、妊婦の女性を助けるということはごく自然なこと。ママである前に、一人の女性として、やりがいのある働き方を見つけられるといいですね。
担当ライター