子育て中の親にいずれ訪れる「親のエロ本はどこに隠すべきか」問題

この記事をシェアする

私はマンガが大好きで、忙しい子育ての合間に読むのが何よりも楽しみです。蔵書の中には「若干エッチな描写のあるマンガ」も含まれており、最近になって「子ども(男の子二人)が大きくなったら、どこに収納しよう?」と悩むようになりました。愛着があるので捨てたくないのですが、かといって、子どもたちの目に触れる場所に置くのもいかがなものかと…。私が今の時点で考えている対策を紹介します。

私が愛するエロマンガたち

いわゆる「成人向けマンガ」をメインに執筆されている山本直樹さんは、私が好きなマンガ家の一人です。1991年に出版された『BLUE』は、高校生カップルの過激な性描写が問題になった、初期の代表作。東京都の条例で「不健全図書」に指定されたものの、逆に知名度が上がり、今なお根強いファンが多い作品です。
たしかに彼の作品は、全体的に「女の子が×××して×××される」系の過激なストーリーが多いのですが、細い線で淡々と描かれているので、あまり気になりません(慣れすぎて私の感覚がマヒしているのかもしれませんが)。エロを通して、家族や宗教などいろいろな社会問題を取り上げた傑作が数多くあるので、普段エロマンガを敬遠している人(特に女性)におすすめです!
そんな私も、今や男の子二人の母親。家の本棚に収めている「山本直樹コレクション」を今後どうするべきか、対策を考えるようになりました。

対策その1・厳重に梱包して隠す

「息子のベッド下からエロ本が出てきた」というのは、よく耳にする「男の子あるある」エピソードです。ある意味、健全な証拠でもあるので、男の子を持つ親にとっては通過儀礼のようなものかもしれません。しかしこれが「母親の本棚からエロマンガが出てきた」という逆のシチュエーションだった場合、子どもが受ける精神的ダメージは数倍キツいのではないか…と推測されます。うちの子はまだ小学生と保育園児ですが、多感なお年頃になった彼らに発見されるのを想像しただけで、正直恥ずかしさで頭をかきむしりたくなります。
一番確実な対策は、子どもの目に触れないよう隠してしまうことでしょう。段ボール箱などに入れ、厳重に梱包するのが手っ取り早いです。箱の側面に「もらいもののタオル」などと殴り書きしておけば、よほどのもの好き以外は、わざわざ開こうと思わないはず。
また、本棚の奥の方に隠すのも一つの手です。一度本棚の奥に入れてしまった本は、買った本人さえ面倒くさくて手に取らなくなり、やがて存在自体を忘れるからです(実体験)。
デメリットとしては、読み返したいときに、いちいち引っ張り出してこなくてはならないことでしょうか。時々無性に読みたいときがあるので、不便といえば不便です。

対策その2・電子版を買い、紙の本を処分する

 

もう一つの対策として思い浮かぶのは、電子書籍を購入し、紙の本を処分してしまうことです。
以前は本屋をこよなく愛していた私ですが、子どもが生まれてからは、もっぱらAmazonで電子書籍を優先して買うようになりました。過去の作品も続々と電子化されていて、山本直樹作品も主なものは電子版がそろっています。電子版をスマホやタブレットに「収納」し、暗証番号を設定してしまえば、子どもの目に触れることはまずありません。仕上げに紙の本を処分してしまえば、完璧と言えるでしょう。
問題は、紙の本に愛着があって捨てられないこと。日にあせたカバーや、うっすらと変色したページには、愛読してきた時間の重みが感じられて、とても手放せません。特に、古びたエロマンガには、新品にはない独特の淫靡さ(?)さえ漂い、さらに味わい深くなるような気がします。個人的には「紙の本を処分するくらいなら、子どもにバレた方がマシだ!」とすら思えるので、この方法は無理だなと諦めています。

対策その3・あえて隠さない(教育の一環)

いろいろと対策を考えましたが、教育の一環として、今まで通り本棚に置いておくのも、方法の一つだと思っています。マンガに性描写やエロ表現はつきもので、成長の過程でそれらに触れないわけにはいきません。親のエロマンガを読んで「免疫」をつけておくのもいいのではないか…という、親心です。
もちろん、「子育て中のお母さんがエロマンガを読んで何が悪い!」という開き直りでもあります。子どもがいようがいまいが、好きなエロマンガはずっと好きでいていいはずだ、という話を、私の友人(未婚女性・私と同じく広島在住)に話していたところ、彼女も賛同してくれました。友人は、BL同人誌(男性同士の性愛を描いた薄い本)のコレクターで、同居する甥っ子・姪っ子が赤ちゃんのころから、本棚に普通に置いていたという猛者です。「今は二人とも大学生だけど、別に何も言われなかったよ。いい子に育ってよかった~」と笑っていました。
他人の趣味嗜好について、むやみに批判・言及・口外しないのは、人として基本的なマナーです。それは、例え親子であっても!子どもには、母親の本棚にエロマンガがあっても動じない胆力と、「スルーする力」を身につけてくれたらいいなと、思います。

子育てする親の大問題。実はまだ迷い中…

以前、山本直樹さんの娘さんのインタビューを読んだことがあります。小学生のころ、屋根裏部屋でお父さんのエロ作品を発見し衝撃を受けたそうですが、今では少女マンガの編集者をされているとか。ジャンルは違えど、お父さんの才能を受け継いでおられるようです。
エロマンガをどこに隠すか(もしくは隠さないか)は、正直言ってまだ迷っています。もし将来、子どもが私の山本直樹作品を読んでいることが分かったとしても、(死ぬほど恥ずかしいけれど)見て見ぬフリをするつもりです。私の蔵書がきっかけで、少しでもマンガに興味を持ってくれたなら、それはそれで子育てとしてアリなのではないでしょうか。

担当ライター

この記事をシェアする