【広島の医師監修】子どもの熱中症対策どうする?
記録的な暑さが続いている今年の夏。広島に住む子育て世代の方は、「子どもの熱中症が心配…」「自分や家族が熱中症にならないためにはどうすればいいの?」と、ほとんどの方が考えているのではないでしょうか?そこで今回は、「子どもの熱中症対策」について特集します!
監修:ここみクリニック院長 亀谷貴浩医師(認定内科医、家庭医療専門医)
熱中症とは?症状やなりやすい時期は?
まずは熱中症の基礎知識と、知っておきたい“危険な症状”についてお伝えします。
熱中症とは、大量発汗で体温調整ができなくなる状態
熱中症とは、大量に汗をかくことで、体内の水分・塩分が失われ、うまく体温調節ができなくなる状態のこと。軽度の場合は、元気がなくなったり、頭がボーっとしたりしますが、症状が進むとけいれんや意識障害を起こすこともあり、命にかかわる危険性もあります。
熱中症になりやすい時期は7~8月
熱中症が多く発生するのは、梅雨が明けたあとの7月後半から8月中。晴れて気温が上昇する日が多いこの時期は、特に注意が必要です。30℃以上の真夏日や35℃以上の猛暑日となる日は、しっかり対策をしなければなりません。 また、近年は5月頃でも25℃以上まで気温が上昇する日もあり、早い時期から警戒が必要です。特にこの時期は、まだ体が暑さに慣れていないため、気温がそれほど高くなくても油断できません。
こんな症状が出たら要注意!
下のような症状が現れた場合は、熱中症の可能性があるので要注意です!
【熱中症の初期症状】
・大量の発汗
・顔が青白い
・皮膚が冷たくなっている
・腹痛や頭痛を訴えている
・呼吸の乱れ など
熱中症の症状には、軽度なものから重度のものまであります。あまりにひどい場合、熱射病の可能性も考えられるので、少しでも意識状態がおかしければすぐに救急車を呼んでください。 意識がある場合は、以下の応急処置をしながら、さらなる症状の悪化がないか注意しながら経過観察しましょう。
【熱中症の応急処置】
◎涼しい場所に移動させる
◎衣服をゆるめ、全身に風を送る
◎太い血管が通っている「脇の下」や「首」などを氷や保冷剤などで冷やす
子どもが熱中症になりやすいのはなぜ?
体温の調節機能が未熟
子どもは大人に比べると、まだ体温調節機能が十分に発達していません。暑いと感じてから汗をかくまでに時間がかかるので、体に熱がこもりやすいとも言われています。
体の水分量が多い
子どもの体は約70%が水分でできています。大人は約60%なので、子どもの方が水分の割合が高いのが特徴です。もともと体に必要な水分量が多いので、汗をかくと脱水症状になりやすく、熱中症リスクが高くなる傾向にあります。
地面の照り返しを受けやすい
子どもは大人に比べて身長が低いので、地面の“照り返し”の影響を受けやすくなります。アスファルトの路面や、建物が多い街中など、照り返しが多い場所では、より一層注意が必要です。
自身が症状に気づきにくい
大人は「めまい」や「だるさ」を感じたら、すぐに「熱中症かも?」と気づくことができるでしょう。しかし、子どもはなかなか自分の体に起きている異変を察知できず、うまく言葉にして伝えられない可能性もあります。遊びに夢中になっているうちに、いつのまにか熱中症になっている場合もあるので、しっかりと子どもの様子を観察することが大切です。
子どもの熱中症対策・予防方法は?
こまめに水分補給を
子ども自身が「喉が渇いた」と訴えるときは、すでに脱水症状になりかけていると言っても過言ではありません。喉が渇いたと感じる前に、こまめに水分を摂らせることが何よりも大切です。大量に汗をかくと、塩分も一緒に失われるので、スポーツドリンクやイオン飲料を飲ませると良いでしょう。 20分に1回、100~250ml程度の水分補給を目安に、その日の気温や活動内容、運動量などに合わせて、水分と塩分を補給するようにしてください。
衣服の調整や帽子の着用
暑い日は風通しが良い衣服を身につけてお出かけしましょう。ショッピングセンターや公共施設などの室内は、冷房が効いていて涼しいこともあるので、脱ぎ着して調節できる服装に。また、外での活動時は直射日光を避けるために帽子は必須です。
子どもの様子を観察
外出時は、子どもの様子を頻繁にチェックして、「顔が赤い」「大量に汗をかいている」などの異変があれば、すぐに対応するようにしましょう。パパ・ママ両方とお出かけする際には、どんな症状が熱中症に繋がるかを共有し、一緒に子どもの様子を観察できる体制を整えておくのが安心です。
無理をせず、適度に休憩する
真夏日や猛暑日の外出時には、とにかく無理をしないことが鉄則。炎天下での活動は控え、適度に休憩をとりながら過ごしましょう。子どもと一緒に、パパやママもこまめに休憩・水分補給をするように心がけてくださいね。
熱中症対策は「大げさすぎる」くらいがちょうどいい!
気温が高すぎる日は、無理にお出かけをせず涼しい屋内にいるのが得策です。しかし、どうしても外出しなければいけないというケースもありますよね。そんなときは、「大げさすぎる」くらいの熱中症対策と予防をしましょう!特に子どもは体温調節機能が未熟で、大人よりも熱中症のリスクが高いので要注意。万が一、熱中症の症状が出たら、すぐに応急処置をし、状況によっては医療機関を受診しましょう。
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