第7回『ガーデニングショップ「leaf+」オーナー下河内優子さん』
広島で輝くママへのインタビュー、今回は安佐北区にあるガーデニングショップ「leaf+(リーフプラス)」のオーナー、下河内優子さんにお話を伺いました。
なんと下河内さん、ショップオーナーの他に、看護師としても働いているというから、驚きです!しかも、3人の男の子のママなんだとか。
そんな下河内さんが働くママとして、大切にしていることとはいったい…?
「好きだから」でここまで来られた
広島の中心部から車で30分ほどの場所、安佐北区安佐北町久地に「leaf+」はあります。広々とした敷地内にはドッグランに開放的なカフェスペース、そして手作りのツリーハウス…。
「なんだかわくわくする場所だな」としばしその外観を眺めていると、奥から透明感のある美しい女性が笑顔で出迎えてくださいました。この方こそお店のオーナー、下河内優子さん。
「ここは子どもたちが帰りたがらない場所なんですよ」
と開口一番、にこやかに話してくださる下河内さん。
お弁当を持参して来られるファミリーもいるのだとか。
あまり売られていない珍しい多肉植物や、手作りのプリザードフラワーなどがリーズナブルな値段で販売されているleaf+。
大小ふたつあるドッグラン。小さいほうのドッグランでは、ワンちゃんを遊ばせながらカフェやランチを楽しむこともできます。
また、カフェコーナーでは、コーヒーや敷地内で採れたハーブを使ったハーブティーを味わうことも。
こんな素敵なところをオープンした下河内さんって、一体どんな人なんだろう…。
私たちは「下河内さんのこれまで」についてもっと知りたくなったので、お話を伺ってみました。
怒涛の新米ママ時代
「私、学生結婚したんです。看護の学校に在学中に長男を授かりました。妊婦で実習を受けたり、勉強をしたりして、無事卒業、と同時に出産したんです。だから、学生からいきなり働くママになった、って感じです」
子どもが1歳半になったときに、看護師として働くことに決めた下河内さん。
社会経験が全くない中での育児と仕事の両立は、思っていた以上に大変だった、と下河内さんは振り返ります。
「とにかく状況をわかってくれる、話せる友達がいないのがしんどかったですね。後、今思い返しても、長男は本当に手がかかる子で…。3歳まで夜泣きしてたし、こだわりが強いし。靴もズボンも『これ!』と決めたら毎日それしか身につけない。『子どもって可愛い』
『ママになれて幸せ』なんて思う間もなく…嵐のような日々でした」
そんな下河内さんの癒しが、植物でした。
「私の兄が花の卸業者をしていて、仕事場で余った苗を私に譲ってくれていたんです。その苗を育てて週に1回、看護師の仕事が休みの時に自宅の横でガーデニングショップを開いていました」
もともと花が好きだった下河内さん、自宅横でのガーデニングショップも趣味と実益を兼ねて…という軽い気持ちだったのだそうです。
周囲の反対を押し切って
しかし、そんな下河内さんはある日、大きな決断をします。
「主人の実家が所有する土地があって、年に1回夏場にその土地の草刈りをするのが我が家の恒例行事なんです。
ある日、例年通り草刈りをしている途中にふと、『ここで、看護師のかたわらガーデニングショップを開いてみるのはどうだろう』と思いついたんです」
しかし周囲は猛反対。
「それもそのはず、まったく整備されていない、荒れに荒れてる土地でしたからね。こんなところにお客が来るわけない、って感じでした」
それでもなんとか周囲を説得。しかし、まだまだ下河内さんの前には壁が立ちはだかります。
「今度は役所に建築申請をしに行ったら『ここは建築許可が下りていません』と言われたんです。自分の土地なのに、自由にできないなんてそれはおかしい!と憤慨して。労働組合の方に相談したり、なんども役所にかけあったりして、ようやく『敷地内で生産したものを売るのであれば』という条件付きで許可が下りたんです」
ようやく思いが実現し、オープンにこぎつけたのは今から約2年前のことでした。
「順風満帆」ではなかったオープン時
オープンしてからも苦難は続きます。
「お客さんが来ない日が何日も続いて…。通りから見えないところにあるから、なかなか気づいてもらえなかったんです」
そこで、下河内さんは知名度を上げるためにあることを行います。
「マルシェです。色んな人に知ってもらうために、マルシェを頻繁に主催しました。私自身、お店を開く前から『ガチャマナ』さんのマルシェに参加していたので、そこで出会った方々に出店してもらったりしましたね」
「ガチャマナ」さんとは西区草津にあるカフェ。オーダー家具やオーダーキッチンの製作もされています。
また、ワークショップやマルシェなどのイベントも定期的に開催されているので、訪れたことがあるママも多いかもしれませんね。
一方、子どもたちも一致団結して働くママを応援してくれました。
「たとえば夏場、汗だくで仕事から帰ってくると、子どもたちがお風呂を沸かしてくれてて。『お疲れ様、お風呂一番に入っていいよ』って。そして私がお風呂に入っている間にご飯を作ってくれてるんです」
なんて素敵な兄弟…!どうしたらそんな風に育つんでしょう?
「私、家事の役割分担を決めるのが得意なんです(笑)。欲しいものやして欲しいことがあれば、必ず条件を付ける。たとえば『スマホが欲しいのなら、これから洗濯をしなさい。その代わりサボればすぐに没収します』って」
その甲斐あって下河内さんの子どもたちは立派な家事男子に成長。
「私の周りでは、『男の子だから家の手伝いなんてしない』って思っている人が案外多くて。そんなことないんですよ」
この地道な努力と家族の協力が実を結び、現在に至ります。
ガーデニングショップと看護師、どちらも楽しくてどちらも好き。だから続けられる
「看護師とガーデニングショップ…どちらも続けるのは大変なのでは?」そんな質問にも穏やかな笑顔でこう答えてくださった下河内さん。
「看護師の仕事がまだ楽しいんです。
よく『お店もやって看護師もやっていることに大変じゃないですか?』と聞かれますが、看護師の仕事も楽しくやれているので、家族のためにも頑張れています。」とのこと。
また、現在介護の服も製作中で、いつかそれも事業にしたいという想いもあり、まだ病院にいたいということもあるそうです。
そして、下河内さんはあまり悩んだり落ち込んだりはしないんです、と語ります。
「いやなことがあっても、笑顔で『えぇい、チクショウ!』ですっきりするんです(笑)」
大らかでナチュラル…そんな下河内さんは、子育ても大らかで自然体。
「特にこうなってほしい、こんな道を歩んでほしい、というのはないんですが…いい意味で『いい加減さ』を大切にしてほしいですね。後は、ちゃんと自分で考えられる人になってほしい」
美しいドライフラワーや多肉植物に囲まれた店内で、下河内さんはほほ笑んでそう話してくださいました。
「みくに」をもう一度盛り上げたい
最後に、下河内さんがこう言いました。
「この辺ってね、『みくに』って呼ばれているんですよ」
地図にこそ記名されていませんが、この地域は地元の人々からは「みくに」という地名で呼ばれているそうです。
「昔は『みくに』と言えば、花木団地で有名だったんですよね。さまざまな花屋さんや植木屋さんがあって…。でも、高齢化でどんどんみなさん廃業されてしまって今ではすっかり寂しくなってしまったんです。
でも、こうしてお店を開いてマルシェを開催することで、みくにがかつてのように活性化するお手伝いができれば…そんな気持ちも抱いているんです」
自分や家庭のことだけでなく、地域のことまで発展させたいと思っている下河内さん。
看護師、ガーデニングショップ、そして地元愛…。下河内さんの輝きの源、それは「好き」という気持ちなのかもしれません。
ここからは気になる1問1答を
1日のスケジュールは?(週2、3回の夜勤の日)
休日のスケジュールを教えてください
イチゴ農園を計画してるので、今は休みの日に研修に行っています。後は美容院や買い物に出かけることがほとんどですね。
お子さんと一緒の休日の過ごし方は?
土日もお仕事なので、子どもたちもleaf+に来て一緒に過ごしています。時には子どものお友達も来てくれることも。 お客がいないときに一緒にバドミントンをしたり、お店のオープンデッキでピザ作りをしたりしています。
広島おすすめショップは?
◆ガチャマナさん @gacha.chiho
◆小春カフェさん @koharucafehiroshima
◆ドゥレウリさん @doreuri1994
夫婦円満の秘訣は?
なんでも言い合うこと、やってほしいことは言う!
怒るときはとことん怒って後に引きずらないことです。
幸せを感じる瞬間は?
◆仕事→マルシェが盛況だったとき
◆プライベート→子どもが「大好き!」と言ってくれる時
子育て中のママに向けて一言お願いします
「いっぱいいっぱいになる前に、すべて辞めてみる勇気を持ってみてください、ですね」きっと訪れる人たちは、素敵な店内と下河内さんのお人柄に癒されて、つい時間を忘れてゆったりとくつろいでしまうのでしょうね。
公式ホームページ:leafplus | ガーデニングショップ
Instagram:@leafplus114
下河内さん♡この度はインタビュー企画にご協力頂きまして、本当にありがとうございました!
pikabu編集部、一同
担当ライター