広島在住のファッションデザイナー・佐々木沙織さんインタビュー!同じ広島の子育てママに伝えたい想いとは?
広島在住の人気デザイナー、佐々木沙織(ささき さおり)さんをご存知ですか?オリジナルブランド「Sorm’86(ソルム エイティーシックス)」を手掛け、Instagramはフォロワー3.4万人!プライベートでは2児のママでもあります。
今でこそ、仕事も子育ても大充実の佐々木さんですが、実は、産後うつで苦しんだ過去があるそう。今回は、そんな自身の経験が少しでも広島ママの参考になれば…と、ブランド立ち上げの経緯や産後うつを乗り越えるまでの体験談などを、詳しくお話してくださいました!記事後半では、インタビュー動画もご紹介しますよ。
デザイナーとして活躍!佐々木沙織さんってどんな方?
まずは、佐々木沙織さんのプロフィールと、現在の仕事をはじめるまでの経緯をご紹介します!
「Sorm’86」デザイナー、佐々木沙織さんプロフィール
取材撮影@YAYOI CLINIC(ヤヨイクリニック)(広島市中区八丁堀)
広島県出身のファッションデザイナー。広島市在住、2児の母。教職を経て、現在はファッションデザイナーとして活躍中。オリジナルブランド「Sorm’86」を手掛ける。
佐々木さんが手掛けるブランド「Sorm’86」は、広島県内だけでなく、日本全国に根強いファンを持つ人気のファッションブランドです。「Sorm’86」で取り扱うのは、佐々木沙織さんがデザインしたアイテムと、海外で買い付けてきた商品がメイン。佐々木さんが理想を追求して作り上げたアイテムの数々は、発売後数分で売り切れてしまうことがほとんどなんです♪
教員からデザイナーに!佐々木沙織さんの経歴
もともと、教員とファッションデザイナーという2つの夢を持っていたという佐々木さん。そのひとつである「学校の先生」という夢を叶え、20代の間は中学校や小学校で英語教員として活躍していたそう。
佐々木さん「一方で、デザイナーになるという夢もずっとビジョンとして持っていました。それで、働き方が非常勤講師に切り替わったタイミングで、まず第一歩として、海外での古着の買い付けに挑戦するようになりました」
デザイナーとして自分の店を持つという夢に向け、まずはビンテージアイテムの買い付け・販売からスタート。その後、オリジナルの服作りも行うようになったといいます。
佐々木沙織さんのオリジナルブランド「Sorm’86」の立ち上げについて
佐々木さん「ブランドを立ち上げた当初は、経験がないうえに自分1人だったので、自分の考えた服を形にして世に出すのにどうすればいいのかも全く分からず、手探りの状態でした」
服を世に送り出すまでには、「パタンナー」にパターンを起こしてもらったり、服を作るための「仕様書」を作成したり、工場に縫製を依頼したり…といった工程が必要になるそう。
ところが、工場に依頼するにしても、素人なので最初はどこも相手にしてくれず、なかなか先に進めなかったとのこと。「とにかくいろいろな工場に電話しまくりましたね」と、佐々木沙織さんは当時の様子を振り返ります。
それでも絶対に諦めないという強い信念を持って、数年間かけて夢を形に。Sorm’86を現在のような人気ブランドに成長させるまでには、計り知れない努力があったことが分かります。
佐々木沙織さんが、Sorm’86を手掛けるうえで常に大切にしているのが、「自分がその商品のことを知り尽くして、お客様になんでも説明できるようになってから世に送り出すこと」だそう。
佐々木さん「せっかく買ってもらったのに、すぐ着られなくなったりしたら残念じゃないですか。だから、自分が売る服は自分自身が納得して、お客様にもきちんと説明できるようになってから販売するようにしています」
デザイン性はもちろん機能性や耐久性にこだわり、ご自身で着たり洗濯したりして、よりお客様に満足してもらえる商品開発に取り組んでいるという佐々木さん。ときには、試作品を石にこすりつけて、強度を試すこともあるそう! そのため、作り始めて1~2年、長ければ3年かかってやっと販売にこぎつけるケースもあるといいます。
佐々木沙織さんのご主人は結婚当初、別の仕事をされていましたが、現在では一緒に「Sorm’86」を運営しています。最近はご主人の力添えもあり、販売できる型数も増えてきているのだとか。とはいえ、広島を拠点に夫婦二人三脚で手がける「Sorm’86」は、これからも規模はそのままに、今「Sorm’86」のファンであるお客様を大切にすることがモットーだそう。
佐々木さん「それからもうひとつ、私が素人からこの仕事に挑戦した経験を活かして、これから、私と同じような仕事に挑戦したいと考えているママたちの手助けができたらいいなとも思っています」
同じように挑戦するママたちを応援したい、スタートを後押ししてあげたい…そんなビジョンも描いているといいます。
子育てをしながら仕事も楽しむ、佐々木沙織さんのママとしての素顔
ご自身の夢を叶え、さらなる未来を見据えている佐々木沙織さん。そんな佐々木さんですが、実は2人目のお子さん出産後には、「産後うつ」で苦しまれたそう…。
子育ても仕事も楽しむのは、なかなか難しいと感じているママも多いはず。そんなママたちの悩みの参考になればと、続いて、佐々木さんがご自身の子育てについても語ってくださいました。
まさか自分が産後うつになるなんて!当時の様子は?
現在も、年子である2人のお子さんの育児に奮闘している佐々木沙織さん。
2人目の出産後に、自身の異変を感じるできごとがあったといいます。
佐々木さん「スーパーで子ども2人が同時に泣き出して、急に、どうしていいか分からなくなってしまって。何を買いに来たのかもよく分からないまま、なんとか買い物を済ませ、30分以上かけて袋詰めして…そのとき、なんかおかしいな、と思いましたね」
当時、下のお子さんが0歳で、上のお子さんもまだ1歳半。下のお子さんが泣いて起きて、つられて上の子も起きて…とにかく、佐々木さん自身まともに眠られない日々が続いていたといいます。
まともに眠れない状況で、体力的にも精神的にも辛くなり、「このままだと、子どもにやさしくできない…」と、徐々に気持ちが追い詰められていったそう。
寸前のところで夫が気付いてくれ、実家の協力も得て回復
ある日、ぎりぎりまで追い詰められ、ついにトイレで泣き崩れていた佐々木さんを、ご主人が発見。佐々木さんの実家にもすぐに状況を説明してくれ、数週間実家に帰って療養することに。
その後、病院を受診し、そこで初めて産後うつが発覚したといいます。
佐々木さん「産後うつといわれて、正直『よかった、治るんだ』と思えました」
ご両親がいる実家に滞在したことで、安心して久しぶりにぐっすり寝ることができたという佐々木さん。その後は幸いなことに、精神的にも体力的にも快方に向かい、産後うつを克服したそうです。
当時、ご主人は仕事で海外出張が多く、日本にいる日も夜遅くまでお仕事をされていて、佐々木さんは完全にワンオペ状態だったといいます。
佐々木さん「夫も忙しくて大変そうだし、勝手に子育ては母親がするものだと思い込んでいて、頼むという考えがそもそもありませんでしたね」
加えて、子育てに関する悩みをなかなか周りにも相談できず、当時とても苦しい思いをしていた佐々木さん。「3歳までは母親が面倒をみるもの」と勝手に決めつけていた部分もあり、自分で自分を苦しめていた…と振り返ります。
たしかに「育児は母親がするもの」「保育園や幼稚園は3歳から」と考えるママも少なくないかもしれません。同じ子育て中のママに向け、「1人で抱え込まず、誰かに頼ってもいいことを忘れないでほしい」と、佐々木さんは語ってくれました。
今は、お子さんの気持ちを第一に子育てに向き合う日々
現在、お子さんは7歳と6歳。なにをするにも子どもたちのやりたいことを尊重し、自由にさせているそうです。幼稚園も子ども自身が選んだ広島県内の園へ、習い事も好きなことだけを選択しているのだとか。子どもの意見に耳を傾けることで、自立心を育んだり、親子のコミュニケーションがより深くなったりするのかもしれませんね。
ちなみに、現在も子育て真っ最中の佐々木沙織さんに「いつ仕事をされているのか」を訪ねてみると…朝4時に起きて、家族が起きてくる午前7時ごろまでの時間なのだそう。また、子どもたちが学校や幼稚園に行っている日中も仕事の時間。「なかなか自分の時間がない!」と思っている方は、佐々木沙織さんのようにちょっと早起きしてみるのもいいかもしれませんね。
最後に、「誰でも、強い想いがあればできるもの。『主婦だから』『ママだから」と考えないで、好きなことに挑戦して、自分の人生を楽しんでほしい」と、佐々木沙織さんから広島のママへ、素敵なメッセージをいただきました。
インタビュー動画はこちら▼
ママではなく1人の人間として楽しんで生きてほしい
現在はご主人の協力もあり、仕事も子育ても楽しんでいる佐々木沙織さん。「ママだから子どもの面倒全部1人でみなきゃ」という呪縛から自らを開放して、さらに「専業主婦だからこんなことはできないだろう」と諦めることもなく、挑戦し続けてきたからこそ、今があるのだと思います。広島の子育て世代にも、「もうこの歳だから」「子育て中だから」と諦めず、いくつになってもどんな状況でも挑戦してほしい!と佐々木沙織さんはいいます。苦しい時期も乗り越えてきた佐々木沙織さんの言葉だから、余計心に響くものがありますね。
担当ライター